西洋文化の中に於いて、占星術は政治にも影響を及ぼすほど大切なものでした。だからこそ、国の統治者は側近に、様々な知識に長けたものをおき、時には占星術者を身近におくこともありました。

重要な政治決断をする時など、王は有識者たちの言葉に耳を傾けると同時に、占星術をも頼りにしました。儀式を執り行うときも、こうした占星術による進言に基づいたものもたくさん行われてきたのです。

そのため、王の側で占星術に携わる者は、膨大な知識が必要とされ、占星術師や従医は博識な人で、王が信頼出来る人物が置かれました。

そんな占星術にも、宝石は深く関わりました。ベースとなった歴史は非常に古く、聖書の時代や神話の時代にまで関わっていきます。最終的には7つの太陽系惑星に当てはめられたものが星座に振り分けられ、その星座の下に生まれた人はその守護星に護られているとなります。そしてイコールでその惑星の影響を受けるとされる宝石たちは、その星座生まれの人の守護石となったわけです。さらにエレメントといって、星座は水・風・地・火に区分されました。

星座の7つの惑星の振り分けと守護石は次のようになります。

《水の星座》

魚座…海王星(ポセイドン)/守護石:アクアマリン・水晶

蠍座…冥王星(ハデス)/守護石:オパール・ルビー・ガーネット

蟹座…月(アルテミス)/守護石:真珠・ムーンストーン

《風の星座》

天秤座…金星(アプロディティ)/守護石:サファイア・ペリドット

双子座…水星(ヘルメス)/守護石:アレキサンドライト・シトリン

水瓶座…天王星(ウラノス)/守護石:アメジスト・ラピスラズリ

《地の星座》

牡牛座…金星(アプロディティ)/守護石:エメラルド

山羊座…土星(クロノス)/守護石:オニキス・サファイア

乙女座…水星(ヘルメス)/守護石:ローズクォーツ・モルガナイト

《火の星座》

獅子座…太陽(アポロン)/守護石:ダイヤモンド・タイガーアイ・琥珀

牡羊座…火星(アレス)/守護石:ルビー・ブラッドストーン

射手座…木星(ゼウス)/守護石:トパーズ・ターコイズ

同じ属性の星座の人とは相性がいいとされ、宝石もまた、同じ属性のものは副守護石として、御守としての相性がいいとされています。また、この関係性は宝石同士や宝石と人だけでなく、人と人との関係性にも生かされました。

つまり、水の星座に属する魚座の人の守護石はアクアマリンですが、同じ水の星座である蠍座や蟹座の守護石も、副守護石として魚座の人と相性がいい宝石となるのです。

誕生石と違い、星座の守護石が多いといわれるのはこの辺りに理由があります。

宝石は時に護符として、権威の象徴として、薬として、そして国をも動かす決断に助言を与える占星術との関連性を以て、、さまざまな形で人や社会に関わっていたのです。