厳密には宝石じゃない?海が育む月のシンボル・真珠

ダイヤモンドが太陽のシンボルなら、真珠は月のシンボル。真珠は月の力が宿る宝石とされてきました。

三大宝石や五大宝石に数えられる真珠ですが、実際には有機質。無機質である他の宝石と比較すると、厳密に宝石ではありません。それでも人々は、月の影響を受ける潮の満ち引きと女性の月経や出産の生命への関わりと、月の影響を受ける潮の中で育まれる真珠を重ね合わせ、その中で生まれる真珠を《月の雫》として尊んだのです。

優雅で気品溢れるその姿は、他の宝石にはない独特の美しさで人々を魅了しました。海という大自然の中で育まれた月の雫は、一級品の宝石として大切にされ続けたのです。

真珠は貝の中に入った異物を、貝自身が自らの分泌物で幾重にも包み込んで出来上がったもの。自らの痛みや苦しみを美しい光の粒に変えていく真珠に、人々は苦難や悲しみを喜びに変えていく女性の辛抱強い姿を重ねました。真珠は女性のシンボルとして崇められ、気品と心や財の富の象徴とされたのです。運がいい→ツキがいい。人も真珠も月(ツキ)に左右されるという、まあ語呂合わせが一説にあります。

己の痛みを美しい輝きの希望に変える真珠は、富と健康の象徴でもあります。月の支配を受けることから、妊婦の安産御守とされていて、女性特有の生理不順や生理痛の悩みの解消にも効果を発揮します。また、長寿の御守としても有名です。

実はこの真珠、自然界から美しい形のものを採取することが非常に困難な代物。宝石としての価値が高い美しい形状のものがなかなか採れないことが難点でした。

そこで生まれたのが養殖技術で、この技術が優れているのが我が国・日本。1893年、貝に人工的に異物を入れ、貝に天然真珠と同じような形成作用を起こさせる技術を開発したのです。現在、宝石市場で出回っている真珠のほとんどは養殖技術で誕生したもので、世界の養殖真珠の90%は日本が産出したもの。真珠が日本を代表する宝石とされている所以です。

養殖の方法は2通りあり、ひとつは海女が採った天然の貝に核を挿入して再び海に沈め、真珠層が出来るの待つ方法。もうひとつはアコヤ貝を稚貝から母貝に育てる方法。核となる異物が人工的なものか、貝の中に自然に入ったかの違いだけで、形成そのものは全く同じなので、外観上で判断することは専門家でも困難です。養殖真珠には以下の種類があります。

・アコヤ真珠

母貝はアコヤ貝。日本ではほとんどがこの養殖法のため、南洋玉に対して《和玉》と呼ばれます。

・南洋真珠

真珠層を作ることができる貝は約30種で、その中で最も大きな真珠玉を作れるのが南洋の白蝶貝。アコヤ貝養殖法が軌道に乗ると同時にその技術を応用し、1928年にセレベス島付近で大粒の真円真珠を生み出したのが始まり。南洋真珠は加工を施さないので、その品質が長年持続することで人気を集めてます。

・黒真珠

黒蝶貝が母貝。孔雀の羽色のものは《ビーコック・グリーン》と呼ばれる最高級品。アコヤ貝真珠の1%ほどしか採れないため、希少価値が高いのが特徴です。少ない産出量の80%はタヒチやフィジー。、日本では唯一、沖縄の養殖場で産出されています。

・淡水真珠

イケチョウ貝やカラス貝が母貝。霞が浦や琵琶湖で養殖されています。核ではなく、他のイケチョウ貝の肉片を入れます。ひとつの貝に20〜30片ほどの肉片を入れることが可能で、平状・米粒状のものなど変則的なものが採れます。色も豊富で、ホワイト・クリーム・ピンク・グレー・シルバー・ゴールド・イエローなど多彩。

真珠は6月の誕生石。宝石言葉は《富と健康/長寿》。宝石のメッセージは《処女のシンボル/芸術的センスの増強》です。