燦然と輝くダイヤモンドは、その美しさや丈夫さから、不滅や永遠の愛の証とされる宝石です。しかし、美しいものにはなんとやら…ダイヤモンドには輝かしい光の伝説とともに、その光故に生まれる闇の伝説が多く残されています。

その中に、魅惑の魔性伝説で語り継がれ、現存する、最も有名なダイヤモンドがあります。

持ち主を不幸にする魔性の青きダイヤモンド───その名は《ホープ》。

名を知らずとも、持ち主が次々と不幸な死に方をしたというダイヤモンド伝説は聞いたことがあるでしょう。

ルイ14世はフランスの王家でも特に宝石蒐集家として有名でした。タヴェルニエはその皇帝の王命を受け、欧州人初のムガール帝国訪問者となります。そこで多くの宝石を入手し、王に献上。この中には青く美しいダイヤモンドがあり、王はこれを非常に喜び、代価とともに男爵の商号を彼に与えます。この青い宝石は《フランスの王の青》と名付けられ、ルイ王家宝石目録の最初の頁に加えられました。これが後の呪いの青いダイヤモンド《ホープ》です。

この青いダイヤモンドはムガール帝国の仏像の額にあったもので、入手経緯がはっきりせず、タヴェルニエが仏像から勝手に抜き取ってきたものという説がありますが、彼はこれを否定しています。伝承だけは確実でした。実はこのダイヤモンドには「手にした者を不幸にする」という伝承があったのです。

最初に手にした司令官は自殺。司令官から献上された王は家臣の反逆によって無惨に殺されます。そして、タヴェルニエは築いた財を息子によって失います。老体に鞭打って旅に出るものの、旅先で死亡。その後、ルイ14世が天然痘で死去すると、人々は「青いダイヤの呪いだ」と噂しました。

《フランスの王の青》はマリー・アントワネットも非常に気に入った宝石でした。彼女が夫とともに断頭台に送られた時、人々の間では、青いダイヤの呪いは信憑性をもって囁かれることとなったのです。

このダイヤモンドは代々王家に伝わったのですが、フランス革命後に新政府が王家の財産をすべて没収したところ、この中に《フランスの王の青》はありませんでした。

「青のダイヤが盗まれた」という噂がパリ流れた春のある日、アルステルダムの宝石のカット職人の下に2、3個にカットして欲しいと、青いダイヤモンドが持ち込まれました。職人は要望どおりにそれをカットしますが、それを職人の息子が持ち出して売ってしまいます。責任を感じた職人は自殺し、それを知った息子は自責の念にかられ、父を追って自殺しました。

月日が過ぎたある日、餓死寸前のフランス人が、ロンドンの宝石商の男のもとへ青いダイヤモンドを持ち込み、宝石商の男は5,000ポンドで引き取ります。顧客である銀行家、ヘンリー・フィリップ・ホープにこのダイヤモンドを見せると、彼はこのダイヤモンドを非常に気に入って18,000ポンドで買い取ります。

これこそ、あの《フランスの王の青》でした。この時以来、《ホープ》と呼ばれるようになります。ダイヤモンドの身元が判明したのは、ホープがロンドン万博で出展したことで、宝石研究第一人者により判明したのです。

ホープ氏は生涯独身で死去。一族は破産します。宝石を相続したフランシス・ホープは気味が悪くなって宝石を売却しました。やがて《ホープ》は多くの人間の手に渡りますが、所有した人々の人生を破滅させ、時に不幸な死を与え、時には盗難されたりとめまぐるしい旅をします。

現在はワシントンのスミソニアン自然史博物館に寄贈されており、《ホープ》はようやく安住の場を得て、世界で最も有名な青いダイヤモンドとして静かに過ごしています。

(結婚指輪の購入・・・宝石に魅せられてどうしても欲しい!という人はブライダルローンも検討してみては?)