情熱の炎の象徴・ルビーは実はサファイアの仲間!?

鮮やかで華やかな赤い輝きを放つルビーは、情熱の炎の象徴。そんなルビーが、静かな蒼い輝きを放つサファイアの仲間といったら、驚きますか?

鉱物上、ルビーもサファイアも全く同じコランダム(酸化アルミニウム)の結晶です。赤い色のものをルビー、青を含むそれ以外の色をサファイアと呼びます。硬度が非常に高く、ダイヤモンドに続いて9という硬さ。

ピンク色のものを《ピンク・ルビー》と呼ぶこともあるのですが、《ピンク・サファイア》とも呼べるわけでして…ルビーの赤とサファイアのピンクの境目については、宝石業界でも頻繁に問題となっています。

カボッション・カットにしたルビーの中には、六条の光の筋が浮かび上がることがあり、これは《スター・ルビー》といって普通のルビーが女石と呼ばれるのに対し、男石と呼ばれる貴重なもので高い価値がつけられます。また、《ピジョン・ブラット》と呼ばれる僅かに紫がかったルビーが最上級品とされていますが、その名の意味は《鳩の血》…ちょっと怖い名前ですね。

ルビーは遥か昔、ローマでは“カルブンクルス”、ギリシャでは“アンスラックス”と呼ばれた宝石で、どちらも“燃える石炭”という意味。ローマの人々がカルブンクルスと呼んでいたのはルビーだけではありませんでした。赤い宝石はすべて、カルブンクルスと呼称されていました。やがて英語でも“カーバンクル”と呼ばれるようになり、同様に赤い宝石のことを示しました。

カーバンクルは伝説上の生物もしくは妖精としても知られている名前で、額に大粒のルビーもしくはガーネットなどの深紅の宝石を持っていて、これを手に入れることが出来れば、富と名声が手に入るとか願い事が叶うなどの言い伝えがあります。実際にカーバンクルを求めて探索に出た冒険家の話もたくさんありますが、成功例はひとつもありません。ルビーやガーネットそのものにも、こうした持ち主に富と名声を与える話があるので、ここから妖精伝説も発祥したとも考えられます。

ルビーとガーネットは、見た目が類似している宝石ですが、従順なガーネットと違い、ルビーは積極的なエネルギーを持った宝石です。そのわかりやすい言い伝えとして、「ルビーは身体の右側に付けないと効果を発揮しない」というものがあります。身体を右・左に分けた時、右が働きかける側で、左が受け取る側となるという意味の表れでしょう。

また、西洋ではローマ・ギリシャ神話の炎と戦いの象徴である軍神・マルスと結びつけられ、ルビーは宝石の中でも特に強力な力を持つとされています。

14世紀には「ルビーはあらゆる危険や禍いから身を護ってくれ、平和と安泰をもたらす宝石であるが、指輪・腕輪・ブローチなど身体の右側につけなくてはいけない」と著書で述べた旅行家がおり、それは当然のように信じられていたため、当時の王族男子の肖像画では、ルビーなのか、はたまたガーネットかスピネルかは定かではありませんが、赤い宝石は必ず身体の右側に描かれています。

7月の誕生石であるルビーの宝石言葉は《情熱/仁愛/威厳》。宝石のメッセージは《トラブル/神力・悪魔払い》です。和名はその鮮やかな赤色に相応しく、紅玉。

実は20世紀初頭に、宝石業者によって国ごとに誕生石が選定されるまでは、多くの国々でルビーは12月の誕生石でした。燃えたぎる炎のイメージであるルビーに、じっと春を待ちわびる情熱の冬の象徴としていたのです。